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コラム:特許調査会社が答えるノウハウ
2005/06/06更新

       

 調査担当者によって調査結果に大きな差がつく機械検索 
 機械検索で思うものがヒットしない場合は、殆どの場合、検索式の作り方に問題があることは言うまでもありません。どの公報もデータベース化され、キーワード、分類、FI,Fターム等が付与されているのですから、適切な検索式を作れば必ずヒットするはずです。適切な検索式を作り難い理由には次のことがあります。 

同じ技術が様々な表現方法で公報に記載されているため、同じキーワードを用いてもヒットするものとヒットしないものがある。
この場合は、同じFターム、FI記号などが付与されているので、Fターム、FI記号などで絞ると共に、思いつく同義語を沢山羅列するなどで、ある程度回避できます。 
同じ技術でも、単独で出願されているものと、他の装置の一部として出願されているものがある。
他の装置の一部として開示されている場合は、他の分類が付与されていることが多いので、まず、キーワードのみによって、他のどのような装置に利用されているかを確認する調査を行った後、Fターム、FI記号等とキーワードとの組合わせによる検索を行います。 
Fターム、FI記号などを盲信してはいませんか?公報の種別(公表公報など)によっては、これらの記号が付与されていません。 
更なる怪=>Fタームは審査官の分冊(審査単位で区分された公報)に付与したものです。日本分類から、国際分類への分冊の組換えの際に公報が正しくファイルされなかったものがあるのも事実ですし、同じような出願がある場合は、分冊の厚みの関係で、捨てられた公報もあるのです。従ってFターム検索でテーマを指定して網羅的に技術を完全に抽出することはできないのです。Fタームは、審査用の資料です。テーマ調査などの用途に使用するときは注意が必要です。 
   
 手めくり調査と機械検索 
 同じ費用と時間では、手めくり調査(公報を全てチェックする調査)と機械検索とではどちらに軍配が上がるでしょうか?
電子化が非常に進んだ今日でも、手めくり調査を希望するクライアントがいます。特許庁情報館に出向いてデータベースを操作すれば、分類指定で電子公報をめくりながら内容を確認することが出来ます。この方法は紙公報時代の特許調査と全く同じ発想です。1頁ずつ公報を繰りながら、目的とする記載があるか否か確認するのは確実と思われがちですが、手めくり調査では明細書の全文を読み通すことはしないで、ぱらぱらめくっていて「関係がありそうだ」と思ったときに明細書を読みます。マニュアル調査の漏れはこの段階で発生します。「ぱらぱらめくってあたりをつける作業中に大事なキーワードを読みこぼす」のです。長時間作業を行っていると、集中力が低下し、必ずこの種の漏れがマニュアル調査には発生します。 

機械検索では、予め該当するものが含まれていると思われる集合を作成し、直接公報の内容を確認したり、キーワード、代表図面などのついた抄録を出力してあたりをつけ、関係のありそうなものについて「公報の内容を確認する」作業を行います。集合を作成している時間は短いので、集中力をキープできます。しかし、マニュアル調査と違って、作成された集合中に含まれるものが、人によって大きく異なるのです。即ち、個人差が非常に大きいのです。分類を決めて全ての公報をチェックするマニュアル調査では、技術的な知識の度合いと注意力による差以外は、結果に大きく影響しないのです。 

「機械検索が難しい」と云われるのは、個人差による結果の差が大きいということに他なりません。機械検索のベテランは、「わざわざ特許庁の情報館に出向いて公報をめくるようなことをなぜ行っているのか」といいますし、機械検索で良い結果を得られない人は「マニュアル調査でないとダメだ」といっているのです。機械検索に長けていれば当然のこととして、同じ時間をかけるならば、機械であたりをつけてから、公報を読むほうが余程、「早く」「正確に」そして「安く」調査が完了すると考えられます。

 EPO調査官との闘い  
 私共のクライアントは、しばしば、無効資料調査をEPO(ヨーロッパ特許庁)の調査部門に依頼すると同時に、米国のみを単独で行って欲しい等の注文をしてきます。米国の特許調査は、米国のデータベースを用いますが、調査自体は自社内で行います。通常、EPOの調査結果がでる前に米国調査は完了しますので、後でEPOから送付された報告書に記載された米国特許と、こちらで抽出した米国特許とでは、無効資料としてどちらが有効か、また、漏れの無い調査が行えているか、比較できます。この比較結果で、私共はEPOの調査官の調査レベルと何ら劣ることがないことを確認しています。なお、EPOの調査担当官は複数の国の調査を同時に行い、これらの総合結果から先行技術が充分抽出されたと思った時点で、調査を中断することが多いので、この辺でも充分内容では対抗できると思っています。

 国内特許データベースとその特徴 
  パトリス(W、J)の特徴
  IPDLの問題
  その他の民間DB

パトリス(W)の特徴:
 パトリス(W)の最大の特徴は、独自のキーワードをデータベースに付与している点です。一般の特許データベース業者は電子データを購入し、これをそのままデータベースに載せているので、意味の無い用語でヒットすることが多く、調査の精度を上げることが難しいのです。例えば「インスタントコーヒー」の検索はパトリスのキーワード検索では回答が0件になります。「インスタント and コーヒー」でも僅かしかヒットしません。「即席 and コーヒー」でやっと該当がヒットします。ところが、キーワードを用いない全文検索では「インスタントコーヒー」で検索すると1000件以上ヒットします。この1000件の中身は、自分の求めているものとは程遠いものであることが多く、結果として非常に多くの時間を要します。パトリスの難しさは、使い方によって精度・費用・時間に大きな差がでることです。パトリス(J)との大きな違いは、専用の検索フリーキーワードが利用でき、精度の高い検索が短時間で行なえる点にあります。

パトリス(J)の現状と問題点:
 平成17年初になって固定料金制のパトリス(J)の利用者が急増した結果、システムが稼動できなくなるという状態に陥りました。パトリス(J)は、平成17年初めに調査会社の利用料金を3倍にしましたが、結局、平成17年7月以降、調査会社での利用を禁止し、また、知財部門等での調査を業務とする利用を禁止しました。現状では、非常に不安定なデータベースということで、これをメインに利用することは無くなってきました。民間企業になってから、システム運営の経験不足が露呈したようですが、国内最大の特許データベースでもありますので今後に期待したいところです。
 
IPDLの問題:
 IPDLの問題は、何といってもシステムのレスポンスにあります。レスポンスが調査精度に直接響いています。調査者は、データベースから送られる回答を見ながら、検索式を何度も作り直し、最良の結果を得る努力をしています。また、得られた回答集合の中身を公報で確認しますが、この作業が大変です。調査をして例えばヒットした500件の中に該当があるに違いないとわかっても、平均6〜7頁の公報をIPDLで見るには、3000回もマウスをクリックし、数秒から数十秒おきに1ページずつ表示される公報の内容を確認しなければなりません。無効資料調査等を本格的に行うことはまず不可能です。IPDLが他のデータベースと異なる点は、古い年代の公報が蓄積されていることで、調査内容によっては明治時代の公報まで遡及して調べる必要がありますが、この作業はIPDL以外ではできません。

 民間データベースは、特許庁が電子データを一般に公開して購入できるようにしたため、現在、種々のデータベースが存在し、価格設定もマチマチです。従量制の料金体系のデータベースもあれば、固定料金制のデータベースもあり、また、データベースの使用料は固定料金で、公報代のみ有料としているデータベースもあります。早くから、サービスを開始したデータベースもあり、また、新規参入したデータベースもあります。基本的には全文検索が主体ですが、中には類似文献検索を半自動化しているものもあります。アタリを付ける調査には自動化した類似文献検索も利用できますが、完全を期した調査ができるようになるのは遥か先の様子です。

 調査が上手くなるには 
 何れにしましても、調査担当者は幅広い技術的知識と、データベースの仕組みを理解していることが必要です。該当する技術をうまくヒットできない方は、一層の研鑚に励んで頂くしかありませんが、他の人に依頼するのも一つの方法です。調査が上手くなる王道はありません。翻訳が上手くなるのと同じように、考え、勉強しながら工夫し、一歩一歩築き上げるしか方法はありません。勿論良い先輩に恵まれることも大切と思います。

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